2023年注目のバーチャルアーティスト ネクストブレイク7選

2022年、花譜がバーチャルシンガーソングライターとして初の日本武道館公演。そして2023年に星街すいせいがVTuber初の「THE FIRST TAKE」に登場し、3日で500万再生を達成するなど、年々バーチャルアーティストの飛躍が目立ってきた。バーチャル特有の制限や活動スタイルがあるものの、確実にバーチャルアーティストが音楽のメインストリームへと足を運んでいる。

星街すいせいやMori Calliopeが所属するホロライブ、ROF-MAOやNornisなど、近年音楽プロジェクトにも力を入れ、アクティブに楽曲を打ち出すにじさんじ、音楽をメインにバーチャルの音楽シーンを牽引するKAMITSUBAKI STUDIOが、2023年も音楽シーンのみならずカルチャーを先導しつつ、新しいものを生み出していくだろう。そんな中で新たに台頭していくであろうバーチャルアーティストを、ネクストブレイク的な意味合いも込めて何組か紹介していこうと思う。

文:森山ド・ロ


長瀬有花







独創的な世界観と常にハイクオリティで中毒性の高い楽曲を生み出し続ける新進気鋭のシンガーソングライター長瀬有花。新たな音楽レーベル「汽元象レコード」にも所属し、2023年の開幕から6ヶ月連続リリースと、目まぐるしい活動が続いている。唯一無二のアーティスト性と「とろける哲学」がTikTokで流行するなど、ブレイクへの兆候と素材はすでに揃っている。2023年、最も注目したいアーティストだ。









明透





SINSEKAI STUDIO公式サイトより



SINSEKAI STUDIO所属のバーチャルシンガー明透。初のオリジナル曲「スロウリー」の衝撃がまだ新しいが、カバーやライブ、そしてオリジナル楽曲も着実にリリースし、精力的に活動を続けている。歌唱力はさることながら、艶っぽい歌声が魅力的で、耳に残るメロディと相まって思わず聞き込んでしまう中毒性がある。2023年にリリースした「ライトイヤーズ」は特に明透の魅力が詰め込まれた楽曲で、飛躍の1年を感じさせるスタートを切った。









存流



SINSEKAI STUDIO公式サイトより



先ほど紹介した明透と同じSINSEKAI STUDIO所属のバーチャルシンガーで、「存流&明透」のユニットでも活動する存流。ユニット自体、二面性をコンセプトにしているだけあって、明透とは違ったアーティスト性を持ち合わせている。透き通った歌声と可憐な一面を楽曲に落とし込む存流は、現代っぽさとノスタルジーなポップスを巧みに歌いこなす。特に去年リリースした「あふれる」は、渋谷系や吉祥寺のシティカルチャーを彷彿とさせつつも真新しさも演出したキラーチューンとなっている。









ユプシロン







精力的な活動に相反してまだまだ謎も多いバーチャルシンガーのユプシロン。シンガーだけにとどまらず、トラックメイキングや小説なども手がけるマルチクリエイターでも知られ、様々なアーティストとのコラボレーションも実現させている。中性的な歌声が特徴で、パンチあるメッセージ性とハードトラックの相性は抜群。ボカロ楽曲も手がけ、音楽家としての独自性、そして聞かせる音楽など、表現者として近年ではさらに幅が広がったようにも思える。今後の活動にも注目していきたい。









ARU







“謎に包まれた”という意味ではARUも例外ではない。2021年、「YUMEGIWA LAST BOY ✕ 深夜高速」のマッシュアップカバーから1年を経て、2022年にオリジナル楽曲をリリース。プロデューサー、シンガーソングライターとして活躍するたなかが楽曲を手がけ、「攻殻機動隊 SAC_2045」のキャラクターデザインを手がけるロシア出身のイラストレーターイリヤ・クブシノブがデザインを担当したMVが公開され話題となった。現在、そこまでアクティブな活動は見られないものの、今後どんな仕掛けを見せてくれるのかのワクワク感があり、ミステリアスな存在として注目していきたい。







隣町本舗







年々、音楽家としての活動に火がついている隣町本舗。きめ細やかなエレクトロサウンドと、哀愁あるノスタルジーなバンドサウンドを使い分け、最大の武器である歌声で絶界の世界観を彩るバーチャルアーティストだ。作曲家としての活動を行いながらも、昨年自身初のフルアルバム「再会生命」をリリース。楽曲へのアクティブさもありながら、ライブアクトでは、モニターを使ったアーティスティックな演出を施すなど、常に表現者として目が離せない存在だろう。メッセージ性は濃厚ではあるが、いい意味で刺々しくなかったり、楽曲と歌声のギャップで魅せる音楽性があったり、掴みどころのない側面も隣町本舗の魅力。









VESPERBELL





REALITY STUDIO公式サイトより



REALITY STUDIO所属のバーチャルガールズデュオVESPERBELL。カスカとヨミというシンガーが、あくまでナチュラルに衝突と中和を楽曲の中で巻き起こすデュオグループだ。楽曲自体、ハードなものが多いが、メロディックかつ抜群のハーモニーで段違いに聴きやすい音楽を実現させている。昨年リリースした1stアルバム「革命」にVESPERBELLの全てが詰まっており、一貫した音楽性がありながらも、常にワクワク感を感じさせる。バーチャルライブもかなりのハイクオリティで、2023年は、楽曲だけではなくライブパフォーマンス面でも期待値が高い。「存流&明透」同様、バーチャルシーンで注目度が最も高いデュオユニットの1つだ。









ネバースリープ編集部 / NEVER SLEEP